小池至夫の画歴(展覧会出品作品)
題 名:望郷を想う
年 月:平成26年10月
出品先:上越市展
賞 :佳作賞
作品号数:20号
取材先:大町五丁目の神社
コメント:私の生まれ故郷の神社です。
幼少の頃,暗くなるまで、夢中で楽しく遊んだ思い出深い、おみやさんです。
絵の手前には、子供にしては、大きめの空間があり、そこで近所の幼なじみと「赤胴鈴之助」の絵柄のへしたをしたり,三角野球をしたり,ビー玉遊びをしたり、9月でしたか「かぼちゃまつり」を楽しんだり、もう一度あのころに戻れたらと、取り留めのない郷愁に、ひたっています。
この町は職人さんの町で、私の父親もタンス作りを営んでいましたし、タンス店、仏壇店、建具店、染め物店と、色々な手作業の店がありました。
特に、タンス店が数多く軒を並べていました。
朝、目が覚めると遠くから「ぷはー、ぷはー」と豆腐屋さんのラッパの吹く音が聞えて,
そのあとには、「納豆、納豆」との声がして硝子の木戸をがらがら開けて買いに行くと、黄色いからしを,、たっぷりと野球帽を浅めに被ったおじさんが入れてくれ、また近所よりネギの美味しそうな、みそ汁のにおいがして、大勢で食べる朝ご飯は、ほんとうに、おいしかったでした。
また、お昼には、どこからともなく、しょっぱい塩引き鮭でしょうか、焼いた美味そうな、匂いがたちこもり、なにか、和らいだ気分になったものでした。
夕刻になると母親が、何かいいことがあったのか、ビニールひもで編んだ買い物
かごに、大きめのお皿を忍ばせて買い物にでかけました。
晩ご飯に、めったに食べられない、お刺身を、いただけるかもしれません。
お刺身は、いつも、カジキマグロでした。
何気ない日常でしたが、たつけもないことで喜んだり、そして、楽しかったなあと
懐かしく思い出したりしています。
どうか平和の日々が続きますように。
絵の題名を考えるのに二日ぐらいかかりました。
それだけ作品と皆様の距離を近しくできると考えているからです。
作品については、幼かった頃の記憶、思い出など、できるだけ表現したかった
ので、めいっぱい、いろいろな物を描きました。
社殿の縁の下の板の隙間から、夏の暑い日に、涼しく吹いてくる風を感じ、
涼んでいたり五円の冷たくて、あずき粒の入った、あずきキャンデーを
よく食べたなあとか、
台風の次の日に境内で焚き付け用に杉の葉っぱ拾いをしたりとか
いろいろなことを思い出しながら、描き、楽しい時間でした。
そして幼なじみの顔も、たくさん浮かんできました。
楽しくてまた良い思い出ばかりでした。
そうそう審査員の先生が、いろんなものを描きすぎだとか、狛犬の台の雨露のシミなど
よく描いてあるとか、おっしゃっておられましたが私は拾っていただいた喜びで
いっぱいでした。
審査されたのは確か東京芸術大学の先生でした。